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ここ最近というより、もしかしたら今年の中でも質の良さでかなり上位にくるのが、練馬区立美術館の「日本の中のマネ」展。
都心から割と離れているので行くのを先延ばしにしていたのだけれど、悔いの残らない一日となった。

エドゥアール・マネといえば”近代絵画の父”と呼ばれ、革新的な画家として誰もが知るところである。
ところが、日本で印象派は人気があるけれど、マネの作品は案外少ない。
それもだいたいが晩年の女性像。モネやルノワールの絵はあらゆる時代のものがこんなにもたくさん日本にあるのに。
果たして日本でマネはこれまでどのように受容されてきたのか。そもそもマネって印象派なの?
と、森鴎外が初めて日本にマネを紹介した1889年からの歩みを丁寧に紹介、考察している。

国内にあるマネ作品および、マネを取り巻く印象派画家たちの作品から始まり、マネの影響が見受けられる明治〜昭和の日本洋画の紹介もとても面白いが、「現代においても新解釈が可能なのがマネの魅力」と結論づけたところがこの展覧会の最も肝要な部分であったように思う。
そして福田美蘭が天才すぎる。つまり福田美蘭がすごい。
サロンにこだわったマネの気持ちを考察するために日展へ出品をしたという例の作品。
落選のため再展示されていた。
他人がどうこういうのもあれだけれど、落ちることで再現性が高まったとも言えるのではないか。


ところで、本当になんでマネって人気無いんだろう。
展覧会ではアカデミックな側面でそのことを考察しているのだけれど、直感だけで言うのなら、日本で人気のある他の印象派に比べて、マネって「かわいい」や「映え」から一番遠いんじゃないかって思う。
ゆるくてふんわりかわいいが無いとやっぱり日本で当てるのは難しい。マネ先生は硬派すぎたのかな。
私がいちばん好きな「日本の中のマネ」は、ポーラ美術館にある《サラマンカの学生たち》です。