20th-century

私は20世紀の終わりに生まれたから、あの時代のことも少しだけ覚えている。
あの頃のパソコンっていつも固まってた。ちょっと触っただけで。
インターネットが定額料金じゃなくて、しょっちゅう使いすぎては怒られていた。
怒られるけれど、「夢を失ってほしく無いから」という理由で、両親が具体的な金額を教えてくれることはなかった。
大人になった今聞いても教えてくれないのだから、きっと相当に使い込んでいたのだと思う。

青緑色のスケルトン素材のMacか、灰色のWinを家族で交代で使う。
でもたった数年後、21世紀になった頃には自分だけのノートPCを買ってもらった。そういう時代になった。

だから世紀末って、退廃だとか何かが終わるのではなく、新しいものが生まれる時なのだと思っている。
まあ生まれるものがあるのなら、滅びるものもあるのだけれど。

インターネットが世界の全てを繋いでいく瞬間を、そして分断していく瞬間を、私が目の当たりにしたあの時から。
そのだいたい100年前に、この人は生まれた。そして20世紀というその時代に、新しい芸術を世界に放ったのだ。


上野の国立西洋美術館で開催中の「ピカソとその時代」展。
ドイツのベルクグリューン美術館から、日本初公開のハイレベルな作品が多数貸し出されている。
もともと美術商・ギャラリストだったハインツ・ベルクグリューンのコレクションを礎とし、彼が熱心に収集した同時代の画家として、ピカソだけでなく、クレー、マティスジャコメッティの作品も充実している。
彼らの作品の革新性は、それだけ20世紀が複雑だったという、言わば時代の鏡写しだ。
激動の世紀と呼ばれる前世紀から変わらないのは、人がいまだに猛スピードで驀進を続けているということ。

初めて自分だけのPCを手にした、たしか12歳の誕生日だったと思うけれど、大きな夢と自由を得たような気もしたし、あれが尽きることのない欲望の始まりだったような気もする。